中いつでもどこでも、ハワイのローカルたちの足元の定番といえば、ビーチサンダルである。ビーチに行くときだけじゃなくても、カジュアルなレストラン、ショッピング、パーティーなどでも普通に履かれている。ときには結婚式にもビーチサンダルで出席する人もいる。もちろん、時と場合によってはビーチサンダルは禁止の場所も少なくないので注意が必要だ。

“Slipper”と呼ぶのがハワイ流

私は、元々は外出時に足のつま先が出ていることがあまり好きではなかったが、ハワイに来て15年経った今ではほぼ毎日、ビーチサンダルで外出するようになった。なによりも楽だし、突然の雨だって平気だし、足が蒸れないのがいい。

サンダル(sandals)のなかで、ゴムやビニールなどの素材でできていて鼻緒がある草履型のものをビーチサンダルという。英語では一般的にflip-flops(フリップフロップス)と呼ばれる。flipには「ぽんと弾く」とか、「ぴしっと打つ」などの意味があり、flopは「バタバタと動く」という意味。ビーチサンダルを履いて歩くときのペタペタとした音からつけられた一種のオノマトペである。ところがハワイの人たちは、ビーチサンダルのことをflip-flopsとはあまり言わずに、slipper(スリッパー)と言う。

スリッパーというのは、本来の英語ではつま先部分が隠れた室内用の上履きのことで、通常、低いかかとがついたものをさす。日本のトイレなどで使う「スリッパ」の語源だと思うが、英語で日本のスリッパに本来近いのはscuffsやmulesなどであり、多少ややこしい。

とにかく、ハワイでは、外履きに使うビーチサンダルのことをスリッパーという。レストランなどでビーチサンダルが禁止のドレスコードがある場合、ハワイでは「no slipper」と書かれている場合が多い。

スリッパーは、サーフボードやヤシの木などと同じく、ハワイを代表するアイコンのひとつとなっていて、ハワイをイメージするイラストや、アロハシャツなどにも描かれる。また、アクセサリーのモチーフとしても人気があり、可愛らしい小さなスリッパーが意匠されているネックレス、イヤリング、ベリーリングなどが作られている。スリッパーの専門店も多く、店内には男女それぞれ向けの様々なデザインのスリッパーがずらりと並んでいる。

室内では履物を脱ぐのもハワイ流

履物でもうひとつ、ハワイならではの文化がある。ハワイでは、家の中には履物を脱いであがるのが一般的なのだ。もちろん日本では当たり前のことなのだが、アメリカ人であるハワイのひとたちのほとんどが、室内ははだしで過ごす。日本の移民たちが持ち込んだ風習がいつの間にかハワイ中に広まったものだと言われている。

ホームパーティーなどでは、アメリカ本土からの客人が靴のまま家にあがろうとするので、家の人があわてて「Oh, no! ちょっと待って! 靴を脱いでください!」と制止する光景がよく見られる。

﨑津 鮠太郎